こんにちはー。絡まるコードが嫌いなゾエ(@zoe)です。
今回は「30cm水草水槽を立ち上げよう!」企画の第2回目、【流木に水草を活着させてレイアウト編】です。
アヌビアスやミクロソリウムなどの水草を、流木や石に活着させる方法についてみていきましょう。
流木や石にくっついて成長する水草
流木に活着したアヌビアス・ナナ プチ水草の中には地面(土)に生えるのではなく、流木や石などにくっついて生長するものがあります。これをアクアリウムにおいては水草が「活着:かっちゃく」すると言います。(※後述あり)
代表的な水草はアヌビアス、ミクロソリウム、ボルビティスなど。近年ではハイグロフィラ・ピンナティフィダも人気がありますね。その他に、コケの仲間ウィローモスが定番。
30cm以下の小型水槽でおすすめな活着する水草は、アヌビアス・ナナ プチや、ミクロソリウム・ナローリーフ、ウィローモスです。理由は成長しても葉のサイズが小さくレイアウトに使いやすいこと、成長速度がゆるやかで頻繁なトリミングが不要なこと、CO2を添加しなくても育つこと(添加した方が綺麗に・元気に育ちます)などが挙げられます。
水草を活着させる方法は?
流木や石などに水草を活着させたいときはどうするかって?
…そりゃあもちろん巻きつけるんですよ(そのまんまw)
活着して育つ水草を、なんらかの方法で流木や石などに巻きつけて水槽内に沈めておけば、通常は数週間〜1、2ヶ月ほどで活着します。レイアウトにうまく取り入れるには知識とセンスが必要ですが、ただ活着させるだけなら放置しておくだけでOK。
では、しっかり活着するまで水草を巻きつけておくにはどうしたら良いでしょうか。
木綿糸を使う
まず考えられるのが「木綿糸」ですね。活着して育つ水草を流木などに木綿糸で巻きつけます。木綿糸は柔らかいので水草を傷つけにくいのと、時間の経過と共に溶けてなくなるので水槽内に人工物を残さずに済みます。
photo-credit:ADA 水草レイアウト用品|モスコットンウィローモスなどの苔類を流木に巻き付けるための「モスコットン」という専用の木綿糸がADAから販売されています。上の写真を見て分かるように、モスコットンはウィローモスの色に近い新緑の木綿糸で、水槽内でも目立ちません。
ただし、ヤマトヌマエビなどがツンツンしてちぎったり水草が十分に活着する前に溶けてしまうこともあるので、僕はあまり使いませんでした。
テグス(釣り糸)を使う
次に「テグス」を使って水草を巻きつける方法です。透明なナイロン製の糸なので水槽内でも目立ちません。
時間が経過しても溶けて無くなることがないので、気になる場合は水草がしっかり活着した後にハサミなどでカットして取り除いてください。
ビニールタイを使う
「ビニールタイ」。ビニールタイは、中心に細いハリガネを仕込んであるテープ状の紐?ですね。細い紐を結ぶのが苦手な方でも簡単に扱えるのがポイントですね。クルッと巻いてねじって留めるだけ。
作業は木綿糸やテグスに比べてかなりお手軽なのですが、やはり目立つのがデメリット。水草が活着したら取り除いたほうが良いかもしれません。ただ、場合によっては水草が成長して茂ることで、隠れて見えなくすることもできます。付ける位置を工夫してみましょう。
水草用の接着剤を使う
最後が「水草用の接着剤」。昔はこんなの無かったと思いますが、数年前から見かけるようになりました。
ぐるぐる巻きつけたりする必要がないのでお手軽なのですが、付けた接着剤が白く固まるので付け方・付け過ぎに注意が必要です。
水草が茂ってくれば接着部分が隠れるので気にならなくなりますけどね。
水草を活着させてみよう
さて、水草を活着せる方法が分かったところで、実際に作業をしてみましょう。
アヌビアス・ナナを流木に活着させる
まずはアヌビアス・ナナ(プチ)を流木に活着させます。
ショップでは最初から流木などに活着させたものや、ポット入りで売られていることが多いです。ポット入りの水草を購入した場合は、ポットから取り出し、ピンセットなどを使って丁寧にウールを取り除いてください。
購入時に最初から長く伸びている根は、そのままでは活着しないので短くカットしましょう。アヌビアスは成長がゆっくりなので、活着するまでに時間がかかります。木綿糸だと活着する前に溶けてしまう可能性が高いので、アヌビアスを活着させるときはテグスかビニールタイがおすすめです。僕はいつもテグスで巻きつけます。
アヌビアスは耐陰性があるので、光が当たりにくく薄暗い場所でも枯れずに育つ水草です。
逆に明るすぎる場所だと、成長がゆっくりなのが仇となりコケが生えてしまうこともあるので注意が必要。少し影になる流木の根元などに配置すると綺麗に育てやすいですよ。
もちろん定期的な換水や、ヤマトヌマエビやオトシンクルスなどコケを食べてくれる生体の力を借りることで、明るい場所でも綺麗に育成可能です。特にオトシンネグロが丈夫でよくコケを食べるのでおすすめです。
ミクロソリウムを石に活着させる
状態が悪くなったミクロソリウムお次は水生シダの仲間、ミクロソリウムを石に活着させます。
ミクロソリウムは前景草と後景草をつなぐ「中景草」としてレイアウトされることが多い水草です。
上の写真のミクロソリウムはベランダのビオトープに突っ込んで放置していたものですが、夏場の高水温で状態がかなり悪くなっています。ショップで購入した際も、枯れている葉や成長して葉が大き過ぎる場合がありますね。
葉を全てカットしたミクロソリウム
そんなときは、もう思いきって葉をカットしてしまいましょう。なんなら全部切り落として丸坊主にしちゃってもOKです。茶色い根が長く伸びて邪魔な場合はその部分も短くカットしてOK。
見た目は毛虫というか妙なクリーチャーになってしまいました(笑)
ミクロソリウムは成長速度はゆっくりですが、環境適応能力が高く丈夫な水草です。時間が経てば水槽内の環境に適応した綺麗な葉がまた生えてくるのでご安心を。
小石に結びつけたミクロソリウム
テグスを使ってミクロソリウムを小石に巻きつけました。後はこのまま水槽内に沈めておけばOK。ちなみにボルビティスもまったく同じ方法で構いません。
ウィローモスを流木に活着させる
最後にコケの仲間「ウィローモス」を流木に活着させます。ウィローモスは非常にポピュラーな水草で、流木や石に活着させることで、永い時間が経ち苔生した様子の表現、流木の形の悪い部分を隠す、熱帯魚の卵を産み付ける産卵場所など様々な用途に使える万能な水草です。
ウィローモスをきれいに活着させるコツは、巻きつける前に1cm〜2cm程度に小さくカットすることです。ハサミでカットしても、手でちぎってもかまいません。このカットした部分から新芽が出てくるため、小さく細切れにしておくことで綺麗に新芽が生えそろいます。
厚く巻きつけると下の方のウィローモスに光が当たらず調子を崩したり、枯れる原因になるので、流木や石の表面が所々見えるくらい薄めに巻くのが正解。
流木を水で湿らせると、ペタッとモスが張り付くので作業がしやすいです。やはりウィローモスもテグスで巻きつける方法がおすすめ。
水槽内に流木・石をレイアウトする
ようやく下準備が終わったので、さっそく水槽内に流木をレイアウトします。水草を巻きつけた後でアレコレと配置を考えていると水草が乾いてしまうので、予めどういったレイアウトにするか決めておきましょう。
この時点でレイアウトを決めていなかったり、やっぱり違うレイアウトにしようとして時間がかかりそうな場合には、霧吹きなどで湿度を保ちながら作業してください。
余談:「活着」とは?
今回”水草が流木や石などにくっついて生長すること”を活着(かっちゃく)と言ってきました。しかし大辞林(国語辞典)によれば、活着とは「挿し木・接ぎ木・移植などした植物が根付いて生長し始めること。」とあります。
そしてアクアリウムで言う「活着」にあたる言葉として「着生:ちゃくせい」という別の言葉があります。
着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)とは、土壌に根を下ろさず、他の木の上、あるいは岩盤などに根を張って生活する植物のことである。
引用元:着生植物|Wikipedia
むむむ!?これは水草の場合も「着生」の方が意味が合ってそうです。
なぜ「活着」という言葉で定着したのか、ハッキリとしたことは僕にはわかりませんが、おそらくADAが発刊しているネイチャーアクアリウム誌AQUA JOURNALなどで「活着」という言葉で紹介・説明されたことで、アクアリウムにおいては「活着」の方が定着したんじゃないかと思います。
※アクアリウムでは「活着」の方が定着しているようなので、このブログにおいても「活着」という言葉で統一しようと思います。
あとがき
基本的に僕はいつもテグスを使って水草を巻きつけますが、あまり器用ではないのでレイアウトした後にユルユルになって外れてたりして毎度苦労してます(笑)